私が実験室で作業していたところ、奥から「あぁ!!!」という戸篠研究員の声が聞こえてきました。
どうされたのかと話を聞くと、大切に飼育していた十文字クラゲがほとんどいなくなっていたとのこと。
この十文字クラゲは5月にNCB室蘭大会で北海道を訪れた際に採集したものだそう。
高知では見ることができない貴重なクラゲです。
水槽の管理を怠ったわけでもないのに一体なぜ……。
原因はすでに戸篠研究員が水槽内で発見していました。
それがこちら。

こちらはエムラミノウミウシ(Hermissenda emurai Baba,1937)と思われます。
写真の個体は4センチほど。
オレンジの青の線がおしゃれです。
背側突起は細長くふさふさで、体の前方と後方で分かれていました。
触角にわずかに突起があるのが確認できます。
ミノウミウシ類は刺胞動物を食べるので、十文字クラゲたちはエムラミノウミウシにむしゃむしゃと食べられてしまったと考えられます。
飼育初期、十文字クラゲのついていた海藻にウミウシは確認できなかったそうなので、クラゲを食べて育ったのではないかとのこと。
採集した生き物を飼育するときには、注意が必要ですね。
おおがま
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