平林 勲

研究員補(2023年3月1日着任)

「サンゴと暮らすカニ達に魅了されています。」

主な経歴

1990年8月 広島県呉市生まれ

2009年4月 愛媛大学理学部生物学科 入学
2013年3月 愛媛大学理学部生物学科 卒業

2013年4月 愛媛大学大学院理工学研究科環境機能科学専攻 入学
2015年3月 愛媛大学大学院理工学研究科環境機能科学専攻 修了
2015年4月 一般企業 入社 
2023年2月 一般企業 退職

2023年3月~現在 公益財団法人 黒潮生物研究所 研究員補

研究業績

研究領域や意気込み

高緯度ではミドリイシ上でよく観察されるサンゴガニ

 カニ類を中心にイシサンゴに共生・寄生する無脊椎動物について調査をしています。

 有藻性のイシサンゴ類は貧栄養的な海域において一次生産を担うだけでなく、その骨格が創り出す複雑な間隙は多様な生物を支える重要な生息環境となっています。もちろんサンゴそのものにも大変多様な生物が生息しており、種内・種間で複雑に相互作用しながら様々な形でサンゴを利用しています。

なかでも、サンゴガニ類やヒメサンゴガニ類に代表される枝状のイシサンゴ類に共生するカニ類では同一サンゴ群体上に共生する生物の組成に影響を与えるほか、宿主サンゴの強力な捕食者であるオニヒトデに対して攻撃行動を示すこと、また環境によっては宿主サンゴの健康状態にも影響を与えることが知られており、サンゴをとりまく生物間の相互作用において大変重要な役割を担っています。

一方で、イシサンゴに共生する無脊椎動物の研究の多くはサンゴ礁域で行われており、国内の高緯度サンゴ群集域では「どこに」「なにが」といった情報は断片的にしか明らかとなっていません。

私は四国沿岸を中心に高緯度サンゴ群集域では今どんなサンゴ共生生物群集が形成されいて、今後どのような変動を見せるのかを明らかにしたいと思っています!

主となる研究テーマ

高緯度サンゴ群集域におけるサンゴ共生甲殻類相の把握と追跡

 世界のイシサンゴ類の分布北限に位置する日本の高緯度サンゴ群集域では、温暖化や海洋酸性化などの環境変動に伴い、今後イシサンゴ類の組成の変化や量的な変動が顕著となることが予測されています。こうした宿主の質や量の変化、また周辺環境の変動は、少なからずサンゴをとりまく生物群集においても変化を与えるものと思われます。

そこで、まずはカニ類を中心としたイシサンゴに共生する甲殻類について、現在、高緯度サンゴ群集域ではどういった共生生物群集が形成されているのか、また1年を通してそれらがどういった変動を見せるのかを明らかにしたいと考えています。さらに、同様の調査を長期的に継続して各地のイシサンゴ類の変化と比較することで、環境の変動が共生生物群集に与える影響についても明らかにしたいと考えています。

温帯固有種であるエダミドリイシに寄生するキモガニ
加入後間もないエンタクミドリイシに共生するクロコジリサンゴガニ

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