, , , , , ,

海洋生物図鑑 製作プロジェクト

力をあわせて海の生き物図鑑を作ろう!

対象生物を問わず幅広く収集した海洋生物をベースとして、内外へと本海域の魅力を発信できる海洋生物図鑑の出版を目指します。皆さんのご協力をお待ちしています!

四国南西海域の海洋生物図鑑の製作プロジェクト

 当研究所の位置している四国南西部周辺の海域には、暖かな黒潮が近づくことにより、琉球列島や台湾、フィリピンなどの南方からたくさんの熱帯性魚類が流れ着きます。柏島や沖ノ島をはじめとする当海域がダイビングポイントとして高い人気を誇るのも、これら色鮮やかな魚たちが本海域にはみられることが大きな要素となっています。しかしながら、どのような魚類が分布しているか、という基礎的な情報ですら不足しているのが現状です。
 本プロジェクトでは、「四国南西海域にはどのような海洋生物が生息しているのか?」という生物学の基礎ともいえる研究をおこないます。対象生物を問わず幅広く収集した海洋生物をベースとして、内外へと本海域の魅力を発信できる海洋生物図鑑の出版を目指します。

 より充実した海洋生物図鑑を作成するため、魚をはじめとする様々な海洋生物の提供を受け入れています。また、野外で撮影された魚たちの生きた姿を掲載するため、ダイビングなどで撮影された写真も提供していただいています。あなたが採ったその海洋生物の標本や撮影した写真が、図鑑に載ることになるかもしれません。 海の生き物が採れた際、「おや、これはなんだろう?」とか「これは珍しいかもしれない」と思うことがあれば、下記メールアドレス宛にご一報ください。

公益財団法人 黒潮生物研究所 戸篠 祥
toshino (アットマーク)kuroshio.or.jp
※ご提供の際、 撮影者、撮影場所(もし分かれば水深、水温など)、撮影日、連絡先もできる範囲で記入ください。

 図鑑作成プロジェクトの一環として、当財団ホームページにおいて「Web図鑑 黒潮の生き物たち」を公開し、随時、海の生き物たちの写真を追加・更新していきます。自然のなかでの生き物たちの姿や学術的に重要な標本写真を日々公開していきますので、併せてお楽しみください。

Web図鑑 黒潮の生き物たち

四国南西部の海洋生物相の解明

ヒブダイのオス

 四国南西部でみられる海洋生物の写真やそれらに関する情報を蓄積します。集まった情報は随時、本ページ上に掲載して、誰でも閲覧可能なWeb図鑑を作成します。プロジェクト開始から3~5年程度を目途に、集まった資料と情報をもとにした図鑑を印刷し、地域の内外へと四国南西部の海洋生物の魅力を発信することを目指します。

魚類相に関する研究 – こいつは確かにここにいる

 図鑑を作成するうえで重要となるのが、この海域に「どのような魚類がいるのか?」という基本的な情報、すなわち魚類相です。これを正確に解明するためには、標本に基づく魚類リストの作成が不可欠です。このため、ダイビングによる採集や、定置網の漁獲物調査などを通じて、可能な限り幅広い魚類の標本を収集します。 収集した標本は、鰭立てしたあとに写真を撮影し、黒潮生物研究所魚類標本コレクション(KBF-Iコレクション)として当研究所内に保管されます。これらは世界中の魚類学者が利用可能な学術標本として維持・管理していきます。魚類の標本を作り、管理する作業には多くの人手が必要となるため、魚類や博物学の基礎について学びながら、標本の作成や維持・管理の補助をおこなうボランティアを募集する予定です。
 種の同定が確実なものについては、海中での魚たちの生きた姿や釣り上げた、漁獲されたときそのままの姿の写真なども幅広く活用します 。

標本写真の撮影の様子

サンゴ相に関する研究 – 多様なバリエーションを網羅した実用図鑑を目指して

 サンゴは同じ種であっても、棲んでいる環境によって形態(見た目や色)が大きく異なることが知られています。そのため、一つの種について、一枚の写真や限られた情報しかない場合には図鑑としての使用が困難となってしまいます。
 ハードコーラルとして知られるイシサンゴ類については、当研究所による長年のサンゴ研究の歴史を活用して、野外で実際にみられる様々な形態パターンのサンゴたちの姿を掲載するとともに、サンゴの全体やポリプの拡大写真など、幅広い用途で利用可能な図鑑の作成を目指します。
 宝石サンゴなどソフトコーラルとして知られる八方サンゴ類については、分類学的な研究が進んでおらず、種の同定に電子顕微鏡による骨片(骨格を形成する骨の欠片)の観察が不可欠です。そのため、ソフトコーラルの野外での姿、外観、表面の構造に加えて、骨片の電子顕微鏡写真を組み合わせた図鑑を作成する予定です。

ミドリイシ属の一種。これらは同種と考えられているが、色も形も大きく異なっている。

クラゲ相の解明 – 一期一会のメカニズム

 クラゲにはポリプといわれる底質に固着した状態と、海を漂うクラゲの状態があります。クラゲの状態での寿命は短く、数ヵ月で死んでしまうものがほとんで、沿岸域に現れるのはそのなかでも僅かな期間です。クラゲについての真の理解を進めるためには、どのようなクラゲが、いつ、現れるのか、という季節や時間に関する情報が不可欠です。これまでにおこなった四国南西部での定量的なクラゲ調査の結果を踏まえ、クラゲ各種の出現タイムテーブルも掲載した図鑑の作成を目指す。

その他の海洋生物について

 海には上に挙げた他にも、イカ、タコ、カニ、貝、エビ、ナマコ、ウニ、ヒトデ、ウミシダなど、多種多様な生き物たちが暮らしています。それぞれの生き物たちについて、専門家とのコラボレーションをしたり、アドバイスをいただくことで、可能な限り幅広い海洋生物を掲載した図鑑の作成を目指します。

ミナミツノコシオリエビ
ゴカクヒトデ科の一種
タコノマクラ科の一種

プロジェクトの進捗

2019/5/1(開始)

生物採集の許可申請 (継続中)

四国南西海域において、各生物種群、採集方法に応じて、特別採捕許可を得たうえで、地先の漁業協同組合の同意などを得た。

2020/12/29(現在)

四国南西部の海洋生物相の把握 (継続中)

海洋生物の採集、モニタリング、標本作成、保管を継続しておこなっている。黒潮生物研究所の魚類標本コレクション(KBF-I)を立ち上げ、これまでに1300標本以上を収集した。

2020/12/29(現在)

Web図鑑の作成(継続中)

得られた情報や写真を当ページのWeb図鑑に掲載した。2020年末での掲載種数は334種。魚類、クラゲ、サンゴ、貝類、海藻類、カメなど多岐にわたる。

2020/12/29(現在)

原稿の準備 (継続中・募集中)

貝類、ウミエラ類の外部担当執筆者の協力のもと、Web図鑑の充実を図った。今後、幅広い分類群の専門家に協力をあおぐ。

2022年度(予定)

編集作業・版組み

印刷用に図鑑の編集作業を進める

2023年度(予定)

印刷・出版

完成した図鑑を印刷・出版する。

PAGE TOP