竜宮城から来たクラゲ姫

こんにちは、としのです。

このたび、新種のクラゲを発見しました!

新江ノ島水族館、アクアワールド茨城県大洗水族館と共同で、高知県、神奈川県、茨城県で採集したクラゲの標本を分類学的に精査したところ、ヒドロ虫綱の新種であることがわかり、Octorhopalona saltatrix (オクトロパロナ・サルタットリクス)、標準和名 オトヒメクラゲと命名しました。

オトヒメクラゲOctorhopalona saltatrix

オトヒメクラゲはヒドロ虫綱花クラゲ目ウラシマクラゲ科の新種です。

大きさは1 cmほどで、球状の傘に8本の刺胞列、8本の放射管、8本の触手をもつことが特徴です。このような特徴をもつウラシマクラゲ科の仲間はこれまでに見つかっていませんでした。

そこで、新しい属をつくることになりましたが、どういった属名にしようか非常に悩みました。近縁種のウラシマクラゲUrashimea globosaにちなみ、「Otohime」が良いと思ったのですが、この属名はすでに昆虫で使われておりました。残念!ということで別の名前を考えることにしました。

オトヒメクラゲの触手にはたくさんの刺胞のこぶがあり、全体としてはこん棒のような形をしております。このように、こん棒状の触手が8本あることにちなみ、ギリシャ語で8本のこん棒を意味する「Octorhopalona」を採用しました。

また、学名の種小名「saltatrix」はギリシャ語で女性の踊り手を意味します。オトヒメクラゲの可憐なイメージからこの種小名を選びました。

カミクラゲも学名にsaltatrixが使われています。こちらも非常に美しいクラゲですね!

少し話が脱線してしまいましたが、オトヒメクラゲは茨城県、神奈川県の他、高知県でも見つかっています。

2020年11月に土佐清水市の沿岸で発見されました。その写真がこちらです。

オトヒメクラゲの稚クラゲ(側面)
オトヒメクラゲの稚クラゲ(傘頂面)
オトヒメクラゲの稚クラゲ(口側面)

傘高2 mmほどの稚クラゲです。

稚クラゲのときから触手を8本持っていて、成長するにつれて刺胞の瘤が増えてきてこん棒状になります。

今回の発見は、昨年(2021年)江の島近海で見つかったワタボウシクラゲに続く報告となりました。新属だったというのも学術的に大きな発見だったと思います。

最後になりましたが、採集や観察、データ分析、論文執筆を共に進めて下さった共同著者の新江ノ島水族館の山本岳さん、アクアワールド茨城県大洗水族館の齋藤伸輔さんにはこの場を借りて厚く御礼申し上げます。としの

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