2019年5月1日
プロジェクトの開始
ハブクラゲの生態解明に向けてプロジェクトを開始しました。
箱型の傘をもつクラゲの仲間である立方クラゲ類は猛毒をもつことから大変恐れられています。立方クラゲ類の1種であるハブクラゲは日本では琉球列島以南に生息し、夏の海水浴シーズンに出現することから毎年多数の刺傷被害が発生しています。ハブクラゲに刺されると重症化することもあり、これまでに3例の死亡事故が起こるなど、公衆衛生上の大問題となっています。
クラゲは浮遊生活するメデューサ(クラゲ)と底生生活するポリプを世代交代する生活史をもちます。毎年時期が来ると、ポリプからクラゲが生まれます。クラゲのグループによってポリプの形やクラゲの生まれ方に違いがみられます。ハブクラゲが属する立方クラゲ類の場合、ポリプは壺のような形をしていており、触手の先には刺胞が備わっています。また、立方クラゲ類では1つのポリプがそのまま1個体のクラゲへ完全変態します。他のクラゲではポリプからたくさんのクラゲが生まれ、それが何度も繰り返されるのですが、立方クラゲ類の場合、一回きりなのです。
〇 誰も見たことないハブクラゲのポリプ
ハブクラゲについてはこれまで様々な調査がなされてきましたが、ポリプが野外で発見されたことはありません。クラゲの発生源はポリプであるため、その基本的な情報を得ることは刺傷被害対策における基礎となります。私は野外では発見が難しいハブクラゲのポリプを研究室内で育成し、実験下で生理・生態や行動を調べようと思います。