こんにちは、こえだです。
Newsにも書きましたが、先日、出版された学術雑誌「Ichthyological Research」にて新種のエイの仲間Rhynchobatus mononoke Koeda, Itou, Yamada & Motomura, 2020(リンコバタス・モノノケ)が記載されました。
新しい標準和名は「モノノケトンガリサカタザメ」です。皆さま、どうぞお見知りおきを。
この種の存在に気付いたのは2018年ですが、昨年から本格的な研究を進めて、ようやく出版の運びとなりました。
今日は昨年10月に鹿児島大学でおこなった調査(書きたくてもブログに書けなかった)について紹介します。
標本が大きいので、取り出すだけでも一苦労です。
計測はもっとたいへん!しかも、全身の80ヵ所以上を計測します。
200年以上 かわっていない手法ですが、やっぱりこれが重要なのです。
一人では裏返すことすら無理なので、計測作業は鹿児島大学の学生さんたちに手伝ってもらいました。
サメと名がつくのに、なんでエイなの?
とよく聞かれます。
サメとエイの違いはエラあなの位置の違いです。
トンガリサカタザメの仲間はエラあなが腹側にあるので、エイの仲間なのです。
サメやエイの研究において、椎体(軟骨魚類の脊椎骨にあたるもの)の数は、種の情報としてとても重要です。
なぜなら、鱗や鰭条といった数えることができるものが軟骨魚には少ないからで、似た仲間とこの数がどう違うのかというのを比べる必要がありました。
しかし、これだけ大型の魚のレントゲンなどを撮れる施設はそうありません。
ということで、今回は特別に獣医学部の先生にお願いして、牛さん用のCTスキャン装置を使わせていただきました。
通常、魚類の研究にもちいるX線(レントゲン)と異なり、立体的なデータなので、ぐるぐるすることができます。
未来技術ですね!
こうして集めたデータや新鮮なうちに撮影した写真をトンガリサカタザメの仲間すべてと比較していきます。
その結果、すべての種との違いを明らかにできたので、新種として記載することができました。
調査終了後、かごしま水族館の生きたモノノケトンガリサカタザメに会いに行きました。
初めに気づいたときはすでに標本になっていたので、きちんと認識したうえでの対面ははじめて。
その頃はまだ名のなきトンガリさんとの時間は何ともいえない良いものでした。
さらなる詳細は研究所の機関誌「Current」にて紹介できればと考えています。
お楽しみに!
最後に鹿児島での調査にご協力いただいた鹿児島大学総合研究博物館、獣医学部、いおワールドかごしま水族館の方々に御礼申し上げます。
こえだ
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