野外では希な種ですが、アクアリウムの世界では普通の種として知られているヒユサンゴ(オオバナサンゴ)。その知られざる生態と完全養殖を目指すプロジェクトです!
2010年1月1日
ヒユサンゴ完全養殖プロジェクト開始
ヒユサンゴを水槽で飼育し、2011年の夏から水槽内で親サンゴの産卵を観察
親のヒユサンゴ
ヒユサンゴは多様な蛍光色彩をもち、サンゴを趣味で飼育するアクアリストの世界では一般的にに売られている普通種で、多くはインドネシアなど海外から野外で採集されたワイルド個体が輸入されています。最近では、個人オークションサイトなどで国内産の違法に採集されたと思われるヒユサンゴが売買されているようです。ヒユサンゴの成長はミドリイシのように早い種ではないため、野外から採集され続けていくと、個体数を大きく減らす可能性が高いサンゴです。日本国内では和歌山県以南からサンゴ礁域の沖縄県まで広く分布するサンゴですが、多産する出現エリアは極めて限られた場所のみとなっています。四国は内湾的な泥っぽい環境で見られますが、個体数は限られた場所を除いて非常に少ないです。
本プロジェクトでは、野外で個体数の多くないヒユサンゴの完全養殖を目指すことを目的としています。本プロジェクトが達成されることで、野外での違法採集が減ることを願っています。また、ヒユサンゴの成長、生態的な特徴、親個体の組み合わせによる娘群体の色の変化などあまりわかっていないヒユサンゴの生態にも迫っていきたいと思っています。アクアリストの皆様に、ヒユサンゴの里親になってもらい、水槽の環境や餌の環境による成長の違いなどが調べられるような事業も考えています。ぜひ、ヒユサンゴの完全養殖にご協力ください!
最近では2年連続でヒユサンゴの種苗が作成できており、これまでに6歳、2歳、1歳のヒユサンゴの種苗ができています(2019年6月時点)。
ゴールとしては、ヒユサンゴの種苗が産卵して、その配偶子を用いて孫世代の種苗を作成することです!
そして本種苗技術を野外採集でヒユサンゴの個体数が減少しているエリアに伝え、個体数を増やしてもらう又は野外採集の代わりに有性生殖の種苗を育成、販売してもらうようにし、野生個体が違法に採集されすぎないようになることが願いです。
これまでヒユサンゴの産卵生態を少しづつですが明らかにしてきました。基本的に雌雄同体放卵放精型で、卵の色はほとんどがグレーで時々ミドリイシのようなピンク色をしていることがわかっています。
今後は、ヒユサンゴの種苗の成長の最適条件などを明らかにしたいと考えています。例えば、温度、餌、光環境などいろいろな環境で飼育し、その変化をみてみたいと思います。
その他に、ヒユサンゴの独特の蛍光はどのようにして決まるのか?親からの遺伝なのか?それとも個体の特性なのか?など親の色を限定して、種苗を作成して、どのような色の特徴をもったこどもができるか試みていきたと思います。
いろいろな飼育条件下でヒユサンゴの成長を知りたいと考えております。
条件を満たせる方:
ひとり1~5個体程度の里親となってもらいます。ヒユサンゴは2歳程度で、骨格1 cm未満、共肉部は最大で500円玉程度。
①ポリプ食の魚類といっしょに飼育しない。同一水槽内で保育器など隔離してある場合は可。
②2ヶ月に1回程度、成長の記録(写真)を送って頂ける方
③1~2年ご協力いただける方
④飼育水槽の光関係、餌、水温などを公開して頂ける方
*なお、餌代、電気代等など一切の費用はご負担ください。
※現在、募集は終わっておりますが、追加募集をするかもしれません
おかげさまで、本プロジェクトは無事に達成されました!ヒユサンゴを研究所内の水槽でしたが外海水で飼育し、9年目にして初めて成熟が確認され、産卵しプラヌラを回収できました。ミドリイシが2-3年以上で成熟するのと比較して、3倍以上の期間がかかることがわかりました。
皆さんの応援ありがとうございました!引き続き、コハナガタサンゴの子も育てて、成熟させていきたいと思います。
プロジェクト担当:目﨑から応援してくださる皆さまへ
本プロジェクトにご寄附いただきありがとうございます!2020年の寄付総額は1000円です(12月26日時点)。大事に使用させてもらいます。今年も残念ながら、第1世代の産卵を確認することはできませんでした。来年も諦めずにチャレンジしたいと思います!今後も応援のほどよろしくお願いします!