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ヒユサンゴの完全養殖を目指そう!

合わせてヒユサンゴの生態を知ろう!

野外では希な種ですが、アクアリウムの世界では普通の種として知られているヒユサンゴ(オオバナサンゴ)。その知られざる生態と完全養殖を目指すプロジェクトです!

ヒユサンゴの完全養殖を目指そう!

ヒユサンゴとは?

 ヒユサンゴは多様な蛍光色彩をもち、サンゴを趣味で飼育するアクアリストの世界では一般的にに売られている普通種で、多くはインドネシアなど海外から野外で採集されたワイルド個体が輸入されています。最近では、個人オークションサイトなどで国内産の違法に採集されたと思われるヒユサンゴが売買されているようです。ヒユサンゴの成長はミドリイシのように早い種ではないため、野外から採集され続けていくと、個体数を大きく減らす可能性が高いサンゴです。日本国内では和歌山県以南からサンゴ礁域の沖縄県まで広く分布するサンゴですが、多産する出現エリアは極めて限られた場所のみとなっています。四国は内湾的な泥っぽい環境で見られますが、個体数は限られた場所を除いて非常に少ないです。

野外でのヒユサンゴ

プロジェクトの概要

 本プロジェクトでは、野外で個体数の多くないヒユサンゴの完全養殖を目指すことを目的としています。本プロジェクトが達成されることで、野外での違法採集が減ることを願っています。また、ヒユサンゴの成長、生態的な特徴、親個体の組み合わせによる娘群体の色の変化などあまりわかっていないヒユサンゴの生態にも迫っていきたいと思っています。アクアリストの皆様に、ヒユサンゴの里親になってもらい、水槽の環境や餌の環境による成長の違いなどが調べられるような事業も考えています。ぜひ、ヒユサンゴの完全養殖にご協力ください!

定着して間もないヒユサンゴ

プロジェクトの挑戦とゴール

1. 完全養殖

最近では2年連続でヒユサンゴの種苗が作成できており、これまでに6歳、2歳、1歳のヒユサンゴの種苗ができています(2019年6月時点)。
 ゴールとしては、ヒユサンゴの種苗が産卵して、その配偶子を用いて孫世代の種苗を作成することです!
 そして本種苗技術を野外採集でヒユサンゴの個体数が減少しているエリアに伝え、個体数を増やしてもらう又は野外採集の代わりに有性生殖の種苗を育成、販売してもらうようにし、野生個体が違法に採集されすぎないようになることが願いです。

ヒユサンゴ種苗

2. ヒユサンゴの生態の解明

 これまでヒユサンゴの産卵生態を少しづつですが明らかにしてきました。基本的に雌雄同体放卵放精型で、卵の色はほとんどがグレーで時々ミドリイシのようなピンク色をしていることがわかっています。
 今後は、ヒユサンゴの種苗の成長の最適条件などを明らかにしたいと考えています。例えば、温度、餌、光環境などいろいろな環境で飼育し、その変化をみてみたいと思います。
 その他に、ヒユサンゴの独特の蛍光はどのようにして決まるのか?親からの遺伝なのか?それとも個体の特性なのか?など親の色を限定して、種苗を作成して、どのような色の特徴をもったこどもができるか試みていきたと思います。

ヒユサンゴの卵
ヒユサンゴ幼群体の骨格
ヒユサンゴの幼個体。茶色の粒は共生している褐虫藻
綺麗な蛍光をもつ稚ヒユサンゴ(UV370照射)

ヒユサンゴを育ててくれる里親募集!

あなたの自慢の水槽でヒユサンゴを飼育してみませんか? (Marine AQUARIST 2019年秋号にて募集)

いろいろな飼育条件下でヒユサンゴの成長を知りたいと考えております。
条件を満たせる方:
ひとり1~5個体程度の里親となってもらいます。ヒユサンゴは2歳程度で、骨格1 cm未満、共肉部は最大で500円玉程度。
①ポリプ食の魚類といっしょに飼育しない。同一水槽内で保育器など隔離してある場合は可。
②2ヶ月に1回程度、成長の記録(写真)を送って頂ける方
③1~2年ご協力いただける方
④飼育水槽の光関係、餌、水温などを公開して頂ける方
*なお、餌代、電気代等など一切の費用はご負担ください。

※現在、募集は終わっておりますが、追加募集をするかもしれません

ヒユサンゴ2歳

プロジェクトの進捗

2010年1月1日

ヒユサンゴ完全養殖プロジェクト開始

ヒユサンゴを水槽で飼育し、2011年の夏から水槽内で親サンゴの産卵を観察

親のヒユサンゴ

2013年7月30日

祝ヒユサンゴ初産卵!

3年目にして初めてヒユサンゴの産卵の観察に成功!
ヒユサンゴは雌雄同体の放卵放精型のサンゴと判明。卵と精子の入ったカプセル型のバンドルの色が特徴的でした。
また、バンドルの浮力はあまり強くないことがわかりました。


ヒユサンゴのバンドルセットの様子。
口をとんがらせているのが特徴的

2013年7月31日

ヒユサンゴの種苗生産と生態観察開始

ヒユサンゴの成長を記録開始

2017年8月1日

ヒユサンゴ種苗の産卵観察開始

2013年の種苗の産卵観察(2018年時点で産卵未確認)

2019年7月12日

ヒユサンゴ稚サンゴの準備
2歳のヒユサンゴを着生板からはがして、フラグに移動。
しばらく活着するまで安静にしています。


2019/9月中旬

ヒユサンゴ種苗の里親(研究協力者)募集開始!
2019年9月発売予定のマリンアクアリスト誌面にて募集の詳細を載せております。10月31日までに研究所のメール(mail@kuroshio.or.jp)宛に必要事項を記載のうえ、
ご応募ください!


里親の募集開始

2019年10月31日

ヒユサンゴの里親募集締め切り!

選考の上、ヒユサンゴを発送いたします。
ご協力をお願いいたします。

2019/11月末ころ

2歳のヒユサンゴたちが里親の元で生活開始!

里親に選ばれた皆様に、それぞれ3個体のヒユサンゴ(2017年8月28日生まれ)を育ててもらうことになりました。
ご協力感謝いたします。
可愛い子には旅をさせよではないですが、どの条件下のヒユサンゴの成長率が最も早くなるのか⁉楽しみです。 

2020年6月1日

ヒユサンゴサブプロジェクト-成長編-

ヒユサンゴの里親募集で育てて頂いている、ヒユサンゴの成長の途中経過をカレントR5で報告しました! やはり天然海水で育てている研究所のヒユサンゴより、アクアリストの方々の方が成長がよい場合がありました。これからの春から秋にかけての成長では負けません!

2020年6月1日

2020年ヒユサンゴ種苗(7歳)の産卵観察開始!

今年こそ第1世代のヒユサンゴの種苗が産卵するか!?

2020年9月26日

2020年のヒユサンゴの産卵観察結果!

今年も期待しておりましたが、第1世代のヒユサンゴの産卵は見られませんでした。来年に期待!
今年は親世代の産卵の同調性が悪く、採卵がうまくいきませんでした。コハナガタサンゴはうまくいったので残念です。なかなか同じ個体が毎年産卵しないことが多いので、安定的に採卵するためには、親の数を増やす必要がある気がしました。
プロジェクトにご寄付いただき感謝申し上げます!来年も頑張りますので応援のほどよろしくお願いいたします。

親のヒユサンゴ

2020年12月1日

ヒユサンゴの里親プロジェクト1年間を終えて

研究所で育てた2歳のヒユサンゴたちが、里親の水槽で1年間暮らし終えました。予想していたよりもアクアリストさんの水槽で成長し大きくなっていきました。「可愛い子には旅をさせよ!」じゃないですが、旅に出してよかったなと思いました。今回の成長の記録は、まとめてマリンアクアリストなどで紹介する予定です。お楽しみに!
里親の皆さまありがとうございました!今後も大事に育ててあげてください!

里親に育てられ、どの子も個性的に育ちました!

2021年6月1日

2021年ヒユサンゴ種苗(8歳)の産卵観察開始!

第1世代のヒユサンゴの種苗の産卵の観察を開始しました。8月末頃まで野外ではないのですが、研究所内の水槽内で産卵したかどうか観察しています。

2021年6月22日

ヒユサンゴの里親募集の結果をマリンアクアリスト100号で発表いたしました。参加者の皆さま本当にご協力ありがとうございました!

もっとも成長したヒユサンゴは、愛知県在住の渡利さんでした!研究所の開放水槽は敗れ去りました!

2021年9月30日

今年の水槽内の産卵観察を終了します

今年も完全養殖成らずでした。やはりミドリイシとは異なり、成熟までの期間は長いかもしれません。来年以降も続けていきますので、応援よろしくお願いいたします!

2022年6月1日

今年も水槽内でヒユサンゴの種苗(9歳)の産卵観察をします!

もう気が付けば9年目になります。そろそろ配偶子の形成を祈るばかりです。9月中旬頃まで観察を続けたいと思います。

2022/8/2プロジェクト達成

9年目のヒユサンゴたちが産卵 !!プラヌラを回収

そして伝説へ・・・


プロジェクト達成!

 おかげさまで、本プロジェクトは無事に達成されました!ヒユサンゴを研究所内の水槽でしたが外海水で飼育し、9年目にして初めて成熟が確認され、産卵しプラヌラを回収できました。ミドリイシが2-3年以上で成熟するのと比較して、3倍以上の期間がかかることがわかりました。
 皆さんの応援ありがとうございました!引き続き、コハナガタサンゴの子も育てて、成熟させていきたいと思います。

ヒユサンゴの孫 プラヌラ(2022年8月23日撮影)

プロジェクト担当:目﨑から応援してくださる皆さまへ
本プロジェクトにご寄附いただきありがとうございます!2020年の寄付総額は1000円です(12月26日時点)。大事に使用させてもらいます。今年も残念ながら、第1世代の産卵を確認することはできませんでした。来年も諦めずにチャレンジしたいと思います!今後も応援のほどよろしくお願いします!

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