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シバづけで生物を増やし豊かな海をつくれるか!

シバづけで生物多様性を向上させる研究

シバづけとは?

一般的に柴漬(シバづけ)は、木の枝や竹などを束ね、石などの重りをつけて沈めます。古くから漁法として用いられ、海や湖、川、汽水域などで行われています。漁獲されるものは魚や、エビ・カニなどの甲殻類、ウナギなどです。

近年では、藻場が消失する「磯焼け現象」によりイカが産卵する海藻が沿岸域から姿を消しています。そのため、イカが産卵できる場所を作るためにシバづけをする「イカシバ」が行われています。

シバづけによる生物多様性の向上効果を解明する

生物多様性をどのような向上させるのか?
①シバづけに用いる素材の選定と設置水深
シバづけに用いる素材(杉やヒノキ、竹など)によって形状が大きく異なるため、シバを利用する海洋生物にとって利用しやすい素材や、利用しやすい深度が異なると考えられます。より良いシバづけの手法を考案します。
これにより、多くの種類の海洋生物がシバづけを利用し、生物量が増えることを目標とし、衰退している地域漁業の活性化に繋がることを期待しています。

②基礎生産者の動態解明
魚類やエビ・カニなどの甲殻類類、イカ類などを多く養うには低次の生産者(基礎生産者)である微細な藻類が多くなければいけません。
しばづけをすることで、どのよな種類の微細藻類がどれだけつくのかを明らかにし、生物多様性を支える基礎生産者の動態解明を目指します。これにより、生物多様性への理解が進むことが期待されます。

③脱炭素への貢献
微細藻類は水中のありとあらゆるところに生息し、小型の動物の餌となるだけでなく、光合成を行うことで大気中の二酸化炭素を吸収し、酸素を放出しています。
シバづけで水中に三次元的構造物を提供することで、微細藻類の付着基盤を増やすことが出来ます。
微細藻類の力を使って、シバづけが二酸化炭素の吸収の場として機能するのか明らかにしていきます。
これにより、シバづけの脱炭素社会への貢献が期待されます。

プロジェクトの進捗

2021年12月1日

プロジェクトの開始

持続可能な豊かな海づくりに向けてプロジェクトを開始しました。

2021年12月9日

シバづけの設置

予備実験として研究所近くの海に3種類のシバ(ヒノキ、杉、竹)を設置しました。
これからどのような生物がつくのか観察していきます。

2022年3月10日

シバづけの回収(予備実験の終了)

 一回目の予備実験が終了しました。シバづけを行っている間にカワハギなどの小魚がついているのが確認されました。その様子は研究所のYoutubeから確認できます。
 シバづけには小型の海藻類(フクロノリやスジアオノリなど)や微細な動物や藻類が多く付着していました。
  顕微鏡で覗いてみると、小魚のエサとなる端脚類、端脚類のエサとなる微細藻類が大量についており、生物多様性が向上されていることを期待させてくれます。
 竹が最も付着生物が多く、杉が最も少ないという結果になりました。
 

ヒノキの枝には大量のフクロノリが付着していました


スギの枝にはフジツボも付着していました


ヒノキの枝にはスジアオノリも付着していました


付着珪藻類もたくさんいました


群がっていた繊毛虫


端脚類も多くみられました







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