カレニア ミキモトイ

ミキモトヒラオビムシ

Karenia mikimotoi (Miyake & Kominami ex Oda) Gert Hansen & Moestrup

 海産プランクトン種。細胞は背腹方向に扁平。上錐は半円形あるいは高角度の円錐形。上錐体の右の底端が左側より長い個体が多い。上錐孔は直線で、非旋回形である。Takayama 属は上錐孔が旋回形であることから区別される。核は細胞の左側に位置する。ヒラヒラと 回転しながら素早く泳ぐ。
 赤潮を形成し、魚介類の大量斃死を引き起こすことが知られている。世界中で赤潮の報告例があり、日本では特に西日本を中心に広く分布している。1mLに数千細胞の密度で魚介類の斃死がよくみられるが、赤潮終息後は水中の酸素が多く消費され、魚介類の窒息もしばしばみられるため魚類養殖では注意が必要である。
 余談ですが、 尾田 (1935)がGymnodinium mikimotoi として初めて記録し、飯塚・入江 (1969)がGymnodinium sp. type ’65 とし、Takayama & Adachi (1984)がG. nagasakiense として初めて新種記載したものと同種。長崎県大村湾でもたびたび赤潮を形成していたことから執筆者も思い出深い一種。ちなみに属名の“ミキモトイ”は調査・研究に尽力された三重県の御木本真珠店(現:ミキモト)の創業者で真珠王と呼ばれた御木本幸吉氏にささげられたものである。

 7月と 8月にプランクトン調査で愛媛県愛南町と高知県大月町で確認されたが写真を撮り忘れたので、写真は長崎で記録したもの。

採集地:大村湾(長崎県);採集日:2011年8月4日;撮影者:日野出賢二郎
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