ヒクラゲ
Morbakka virulenta (Kishinouye, 1910)
傘高は20 cmを超え、触手は3 mに達する日本最大の箱虫綱。日本固有種で、秋から冬にかけて紀伊半島沿岸や瀬戸内海、九州沿岸などでみられる。刺されると火にあたったように激しく痛むためこの名がある。かつてはTamoya haplonemaとされてきたが、近年の分子系統解析により新設されたイルカンジクラゲ科 Carukiidaeのヒクラゲ属 Morbakkaへ移され、原記載時の種小名であるvirulentaが復活し、現在の学名となった。食欲旺盛なクラゲで、アジやイワシ、イカ、エビなどを捕食する。サヨリを食べることもあり、胃の中に納まったサヨリの下顎が胃と傘を突き抜けていた事例もあるなど、話題に事欠かない。(戸篠)