古井戸 樹

研究員

「ソフトコーラルだけじゃない、生き物好きです」
経歴

1986年東京都出身。
2012年3月 北里大学 海洋生命科学部卒業
2014年3月 宮崎大学 大学院 農学部 海洋生物環境学科 卒業
2014年4月 宮崎大学 大学院 農学工学総合研究科 入学
2017年6月 公益財団法人 黒潮生物研究所 研究員

研究領域や意気込み

 もともと生物の飼育が好きで、ソフトコーラルの飼育もしていましたが、情報が少なく、飼育している種の名前もはっきりと分からないことに気づきました。そのため、すべての研究の基礎となる分類を行おうと考えました。ソフトコーラルは、世界に約3000種以上いると推定されています。鮮やかな色彩や、様々な形態を持つソフトコーラルを実際に海の中で探し、観察することが楽しみです。

主となる研究テーマ

ウミトサカ類の分類学的再検討

 八放サンゴ亜綱の多くは、イシサンゴの様な硬い石灰質の骨格をもたず、骨片と呼ばれる小さな石灰質の塊を体内に多数もちます。そのため、体部が柔らかくソフトコーラルと呼ばれています。しかしながら、形態的特徴の乏しさ、形態の変化および可塑性により、種の同定が非常に困難であり、同定や分類が非常に困難です。また、近年では分子系統解析がソフトコーラルでも使用され始め、情報は未だ少ないながら、種の分類に非常に強力なツールとして使用されています。そのため、形態的な特徴に加え、分子系統解析を行うことにより、分類のヒントとして利用しています。また、ソフトコーラルは成長が早く、無性生殖で増殖できるため、サンゴ群集形成初期のパイオニアの役割を担っていると考えられていますが、これまで温帯域を含めて国内でソフトコーラルの研究はほとんど行われておらず、種組成や生態に不明なものが多いのが現状です。そこで、いままで注目を受けていなかった浅海性ソフトコーラルの実態を明らかにすることにより、温帯域におけるソフトコーラルの基礎的なデータとして非常に役立つことに加え、環境保全や観光事業の発展に寄与できると考えています。

宝石サンゴの実態の解明

 宝石サンゴもソフトコーラルと同じ八放サンゴ亜綱に属するサンゴです。アクセサリーなどに加工され、需要が高いながらも生息する水深(100~200 m)には通常のスクーバダイビングでは潜れず、観察等ができません。そのため、この水深帯に生息する八放サンゴ亜綱の生態はほとんど明らかになっておらず、生態など資源の持続的利用のための基礎的な情報も無く、その生態や種の実態は謎につつまれています。そこで、水中ドローンによる宝石サンゴ生息域の調査を行いたいと思います。また、地元漁業者の方に提供していただいた宝石サンゴの飼育を行い、いままで誰も確認したことのない宝石サンゴの産卵観察を目指します。

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