, , ,

サンゴの卵を食べる魚たち、その影響はいかに!?

サンゴの卵を食べる魚たち、実は支えあっているのかも?

サンゴの産卵は海の大イベントであり、多くの魚がこの卵を食べるために夜更かしをします。このプロジェクトでは、サンゴの産卵が魚類の生態にどう影響するか、逆に魚類に食べられることがサンゴの生き残りにどう影響するか、といった相互の関係を調べます。

サンゴの産卵が海産魚類生態系に与える影響

サンゴの産卵は海の大イベント

  有藻性イシサンゴ類(以下サンゴ)の配偶子放出(産卵)は、温帯域では主に夏季の夜間におこなわれ、産卵時には多くの海洋生物が普段と異なる行動を示すことが知られます。例えばチョウチョウウオは普段、日中に活動して、夜は岩陰などで寝ていますが、サンゴの産卵の夜は日没前からソワソワ、その夜は夜更かしをしてサンゴの卵を食べる様子が観察されています。このようにサンゴの産卵は、サンゴ以外の生き物にとっても、とても大きなイベントなのです。

産みだされるサンゴの卵

サンゴの産卵は魚類の生態に影響するか?

  近年、地球規模での海水温の上昇などのさまざまな要因により、温帯域に位置する南日本太平洋沿岸においてサンゴの分布範囲が拡大しつつあることが知られています。四国南西部はその象徴的な場所であり、サンゴが作り出した環境を利用する魚類が増加している傾向があるといえます。しかしながら、サンゴの産卵が魚たちの生態にどのような影響を与えているか、という視点で調査をおこなった例はありません。 そこで本研究では、サンゴの産卵前、産卵中、産卵後における魚類相の変化をみることで、具体的にどのような種がサンゴの卵を捕食するのかを調べます。また、複数の魚種についてサンゴの産卵前後における肥満度の変化や産卵期の同調性を比較することで、サンゴの産卵がどのように魚類の生活を支えているかを評価します。

沖縄島のミナミハタンポの生殖腺指数(赤色)と肥満度(青色)の関係。生殖腺指数の高い産卵期には個体の栄養状態を示す肥満度が低い

魚類による卵の捕食はサンゴの生残に影響するか?

  サンゴの産卵中に採集した魚類を水槽内で飼育して、数時間ごとに胃の解剖、内容物の確認をおこないます。これによって、胃のなかのサンゴの卵がどの程度の時間で消化されるのか、また消化されないのかを確認することがで、魚類による卵の捕食が、サンゴにとってメリットがあるのかを評価します。つまり、消化がみられない場合は、魚類がサンゴの卵を胃に入れて運ぶことにより分散に寄与している可能性が支持されることになるのです。

夜行性魚類であるハタンポの仲間はサンゴの卵を積極的に捕食する

プロジェクトの進捗

Stage 1

サンゴの産卵時にみられる魚類のリスト作成と行動の変化

サンゴの産卵の際にみられる魚類の行動の変化を観察する。また、みられた魚種をリストアップし、どのような魚がサンゴの卵を捕食するのか解明する。

Stage 2

サンゴの卵が魚類の生態に与える影響を評価

サンゴの卵を捕食する種について、周年を通したサンプリングをおこなうことで産卵期を推定し、肥満度の経月変化を明らかにする。これらの変化とサンゴの産卵の同調性を調べることで、サンゴの卵が魚類の生態に与える影響を評価する。

Stage 3

魚類がサンゴの分散に与える影響を評価

一部の魚類では、中・長距離を回遊することが知られてる。胃内での消化状況を調べることで、これらがサンゴの卵を捕食して移動する、すなわち鳥が植物の種を運ぶように魚類がサンゴの卵を運んでいるかを検証する。

PAGE TOP