ヨダレカケ

ヨダレカケ

Andamia tetradactylus (Bleeker, 1858)

とても魚には思えない名前だが、れっきとしたイソギンポ科の魚類である。名前は下唇にある吸盤に由来する。ユニークなのは和名だけでない。この魚は水を嫌う。潮間帯から潮上帯の濡れた岩の表面に貼り付いて生活しており、近づくとピョンピョンと飛び跳ねて逃げてしまう。消波ブロックやザラザラした表面の岩でもなんなく貼り付くことができる忍者のような魚である。水に飛び込んだ!と思いきや、水面上を飛び跳ねることも可能で、ピョピョピョピョ!と瞬く間に別の岩へと渡ってしまう。その動きは水蜘蛛の術、というよりは某中国拳法の達人のそれを彷彿とさせる。産卵は乾燥しない岩穴や岩の隙間におこなうことが知られる。ちなみに体が長く、軟らかく、鰭の基底が長く、鰭条数も多いため、鰭立てが最高難易度の魚のひとつである。(小枝)

KBF-I 267
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