ムツ

ムツ

Scombrops boops (Houttuyn, 1782)

黄土色の魚だが、大きくなると黒ずんでいき、最大体長付近ではほぼ真っ黒になる。非常に美味な魚で、大型になると高級魚として扱われ、めったにお目にかかることはない。写真のような幼魚は浅場に棲むため定置網や巻き網などで頻繁に混獲される。大型個体は深海に棲み、沖の島沖の水深300~500 mで釣れる。ただし、これらはほとんど利用されることもない。本種はムツ科に属するが、「のどぐろ」として有名なアカムツはスミクイウオ科であり、科レベルの違いがある。外見や雰囲気は煮ているものの、他人の空似からきた似た名前ということのようである。 学名であるboopsはギリシャ語で牛の眼をするという。 徳川時代の仙台地方は藩主が陸奥守(むつのかみ)であったため、この魚をムツと呼ぶことは藩主を呼び捨てにすることとなる。そのため、ムツと読める六をロクと読みロクノウオと呼んだという興味深い歴史がある。(小枝)

NSMT-P 136285(田ノ浦)
KBF-I 1182(沖の島南方沖)

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