マダイ

マダイ

Pagrus major (Temminck & Schlegel, 1843)

言わずと知れたタイのなかのタイである。おそらく「タイ」「ダイ」は魚類の和名に最も多く含まれるであろう。それほどあらゆる魚の基準となる魚であり、名前の分からない魚を説明する際に「細長いタイみたいな魚で」や「タイみたいな体形で」というフレーズは良く耳にする。魚の名前を聞かれて「スズメダイの仲間ですね」などと答えると「タイの仲間なんですね」といわれることも良くあるが、先述のように和名としてのタイはあらゆるグループに出てくるので、まったくタイの仲間ではないことの方が多い。タイの仲間としてはよく似たチダイやキダイ、レンコダイ、あるいはクロダイやヘダイなどがいるが、食用魚としての扱いは別格。味だけでなく、色合い、美しさから日本ではめでたい魚、高級魚の代名詞であったが、近年では養殖漁業の発展に伴い比較的お手頃な価格で食べることができるようになった。見た目に美しいのは断然、天然物であるが、味については甲乙つけがたいほど養殖技術も高くなっている(愛媛県宇和島市はそのメッカである)。なお、養殖物は2つの鼻孔がつながっていることで識別できる。愛媛県の郷土料理として「鯛めし」は有名であるが、宇和島など愛媛県南部では一般的な鯛めしである炊き込みご飯スタイルではなく、お刺身と薬味をごはんに載せてタレをかけて食される。個人的には後者が好みだ。(小枝)

KBF-I 1054
 
KBF-I 787
 
サンゴのある海を泳ぐマダイ(竜串;2019年10月28日撮影)
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