ポリクリコス シュワルツィ

ヨツゴハダカオビムシ

Polykrikos schwartzii Bütschli

  浮遊性種。個々の細胞が縦に融合したような特異的な見た目をしているが、単独に分かれることなく生活する。これは偽群体(pseudo-colony:シュードコロニー)と呼ばれる。細胞は長楕円形。横溝は通常8本あり、それに沿って鞭毛が生えている。8細胞に見えるが、核の数は横溝の半分ある (写真1枚目)。縦溝は全ての細胞のものが繋がっており、細胞後端まで連続する (写真2枚目) 。細胞頂端にある上錐溝は外巻形。
 従属栄養性で、細胞内にネマトシスト(nematocyst)と呼ばれる複数の刺胞を持つ(写真3枚目)。ネマトシストはモリのように射出され、エサ細胞を捕らえて細胞内に引きずり込んで丸呑みする。赤潮の原因になるプランクトンをよく捕食する。
 休眠細胞(シスト)を形成することが知られている。シストは生細胞と同じような大きさで、長楕円形。表面は濃褐色で網目模様がある。同属のP. kofoidii に似るが、細胞下錘部の条線の有無や核の位置、シストの表面構造から区別できる。見慣れていないとすぐに識別することは困難かもしれない。

採集地:古満目(高知県);採集日:2022年3月16日;撮影者:日野出賢二郎
採集地:片島(高知県);採集日:2022年3月29日;撮影者:日野出賢二郎
採集地:片島(高知県);採集日:2022年3月29日;撮影者:日野出賢二郎

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