バレンクラゲ

バレンクラゲ

Physophora hydrostatica Forsskål, 1775

 独特な形態を示す管クラゲ目の中でもひときわ目立つ形態をもつクラゲ。一見すると、南国の果実のようにも見えるが、SNS上でもたびたび話題になる管クラゲ界の新星的存在。和名の由来は江戸時代に町火消が用いた旗印である纏(まとい)の一部分である細長い飾りである馬簾に由来する。大相撲の化粧廻しの前垂れの裾についてある房状のものも馬簾である。
 体は筒状の泳鐘部と房状の栄養部に分かれる。栄養部の頂端には1個の気泡体があり、泳鐘は2列をなす。栄養部は膨大し、感触体や栄養体、触手、雌雄両生殖体叢を備える。イカの足のように見える部位が感触体で大きく広げたり閉じたり、物をつかんだりと器用に動かすことができる。触手の側枝はカイアシのような形状をしており、餌である小型魚類を釣り上げるための疑似餌として用いられているものと思われる。
 外洋性のクラゲで、ダイビング中に見かけることが多い。ウミノミの一種が寄生することもある。極域を除く世界各地の海に広く生息する。大月の海では冬にみられる。(戸篠)

高知県大月町産(2022年2月25日撮影)
PAGE TOP