キヨヒメクラゲ

キヨヒメクラゲ

Kiyohimea aurita Komai & Tokioka, 1940

 暖かい海に生息するクシクラゲの仲間で体長は10 cmほど。和歌山県田辺湾や九州沿岸で報告があるが、 採集例が少ない稀種。 最近では瀬戸内海や沖縄でも見つかっていて、四国西南部にも生息することがわかった。クラゲ愛好家の間では幻のクラゲとされていて、いつか出会ってみたいクラゲの一つだろう。口の反対側(反口部)に三角状突起があり、袖状突起を広げた姿は何とも神秘的。
 和名の由来は基産地である和歌山県、紀州道成寺にまつわる安珍・清姫伝説に由来する。紀伊の姫であった清姫は熊野に参詣に来た美男の僧、安珍に一目惚れした。しかし、安珍は恋する清姫から身を遠ざけてしまう。清姫は安珍に裏切られた怒りから龍蛇に変貌し、梵鐘の中に逃げ込んだ安珍を焼き殺してしまう。この壮絶な結末を知った後でキヨヒメクラゲを見ると、見る目が変わる?かもしれない。(戸篠)

高知県大月町柏島産(2022年3月10日採集)
高知県大月町柏島産(2022年3月10日採集)
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