チリメンクラゲ
Versuriga anadyomene (Maas, 1903)
傘径は20 cmほどであるが、時に60 cmに達する。傘は半球状で外傘表面に桃色や紫色、茶色を呈す網状組織がみられる。傘の網状組織や色彩が日本の伝統的な織物「縮緬(ちりめん)」に似ていることから、この名前がつけられた。属名のVersurigaはラテン語で畔や列を意味するVersusと尾を意味するuraを組み合わせたものである。種小名のanadyomeneはアフロディーテ(女神)のあだ名である。
その他の特徴として、口腕に多数の棒状付属器を備え、棒状突起間と口盤から糸状付属器が伸長することが挙げられる。生息域は亜熱帯から熱帯域で、これまでにマレーシア、フィリピン、タイ、オーストラリア、ミャンマー、インド、バングラデシュ、パラオ、インドネシア、中国、ベトナムなどで報告があり、日本では沖縄で初めて発見された(Toshino & Tanimoto 2025)。クラゲには小型のコウイカやカニ、稚魚、カイアシなどが共生することがある(Rao, 1931; Gershwin et al., 2010; Ha et al., 2020; Ohtsuka et al., 2020)。生活史は不明。(戸篠)